記事一覧

保証利用と金融機関の義務

信用保証を利用する金融機関はどのような義務を負うのか。
金融機関が信用保証を利用する場合は、信用保証協会に対して、解説に示すような6つの義務を負担する。

貸付実行の通知義務等6項目
金融機関と信用保証協会との間の保証契約の効力が貸付によって生じる(約定書例2条1項)と、金融機関は基本契約(銀行取引約定書)の規定に基づき信用保証協会に対して種々の義務を負担することとなる。これは信用保証取引を安全かつ適切に運営するために定められたものであるが、金融機関の義務に関する主な事項は次のとおりとなっている。

(1)貸付実行・償還状況の通知義務
信用保証書発行後、所定期間内に金融機関が貸付を実行した場合、あるいは貸付後主債務につき金融機関がその債務の全部または一部の履行を受けた場合は、遅滞なく信用保証協会に対し通知する義務が生じる(約定書例4条)。前者が、貸付実行報告の義務であり、後者が償還状況報告の義務である。もっとも、内入弁済に伴う償還状況の通知については、事務合理化の観点から、これを省略し、延滞分の通知(延滞報告)でよいとする信用保証協会が一般的である。通知は、要式主義を前提としており、必ず一定の様式(貸付実行報告書または延滞報告書等)によらなければならない。これは、他の通知事項についても同様である。

(2)保証契約変更の通知義務
信用保証書上の記載事項(保証金額・保証期間・債務者・返済方法・貸付形式・保証人・担保)について変更契約が行われた場合は、変更手続完了後、遅滞なく通知しなければならない(約定書例5条4項・変更実行報告)。

(3)事故報告・期限の利益喪失の通知義務
金融機関が、保証付債権について債務の履行を困難とする事実を予見または認知したときは、遅滞なく信用保証協会に対し事故報告書を提出しなければならない(約定書例9条1項)。なぜならば、信用保証協会にとって、弁済遅延・手形の不渡等の事故を把握することは、保証期間中の債権管理や将来求償権の保全、管理あるいは保証期間延長等の調整措置等のために必要だからである。また、主債務の期限の利益を喪失させた場合も、遅滞なく通知する必要がある(約定書例9条2項)。これは保証債務の履行の範囲(約定書例6条2項)や、代位弁済請求権の存続期間(同6条1項、7条)等との関係で、期限の利益喪失日を明確にしておくことが必要であり、銀行取引約定書等に規定されている当然喪失条項あるいは請求喪失条項のいずれに該当した場合であっても、通知を要することとなっている。

(4)信用保証料徴収の受任義務
金融機関は、債務者から信用保証料を徴収する事務を、信用保証協会より委託されているので、受任者として、信用保証料を徴収する義務を負っている(約定書例8条)。

(5)保証付債権の保全・取立義務
金融機関は、常に保証付債権の保全に必要な注意をなし、主債務の履行を困灘とする事実を予見または認知したときは、適当な保全措置を講じなければならない(約定書例9条1項)。この保全措置の具体例としては、担保の保存、時効中断措置、不渡手形の不渡異議申立預託金に対する仮差押、保証条件保証人等に対する意思確認等があげられる。また、債務者が履行期限に弁済しない場合、金融機関は保証付でない自己の固有債権の取立と同様の方法をもって、保証付債権の取立に努めなければならない(約定書例9条3項)。これは、取立方法の公平さを義務付けただけではなく、金融機関の取立あるいは担保処分による回収金の充当についても、保証付債権を公平に取扱うよう義務付けたものである。ただし、充当順序に関し運用面において弾力化を図り、原則としてプロパー債権を優先させている。

(6)保証債務の履行に伴う債権証書および担保物の交付義務
金融機関は信用保証協会から代位弁済を受けた場合、保証付債権に関する債権証書や担保物等を引き渡さなければならない(約定書例10条)。代位弁済による債権証書・担保物等の移転に関し、民法の規定は、債権の一部につき代位弁済を受けた債権者は、債権証書等を代位弁済者に交付する義務はなく、債権証書に代位の旨を記載して、保証人に債権者め占有にある担保物の保存を監督させればよい、こととなっている(民法503条)。しかし、信用保証協会の場合は、求償権の行使あるいは保全の必要性から約定書例所定(6条)の保証債務を履行したときは、金融機関に対し債権書類および担保物等の交付を義務づけている。