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民法上の保証と信用保証との相違点

信用保証協会の信用保証と一般の保証はどう違うか。
民法上、保証とは、主たる債務者が自己の債務を履行しない場合に保証人が自己の保証債務を負担する場合をいい(民法446条)、保証債務はもっぱら主たる債務を担保することを目的として存在するものである。この限りにおいては信用保証協会の信用保証も民法上の保証とその法的性格において変わりはない。

有償の委託契約
信用保証協会とは、中小企業者等の信用力を補完し、金融の円滑化を図ることを目的に制定された信用保証協会法(昭和28.8.10法律196号)にもとづく公益特殊法人で、中小企業者等が金融機関から貸付または手形の割引等を濠ける場合に、その貸付・割引等にかかる債務を保証することを主たる業務としている(信用保証協会法20条1項1号)。このような信用保証協会の行う信用保証の法的性格については、民法上の保証であるとされている(東京高判昭和35.10.26等)。

次に信用保証を成立せしめる場合の契約当事者は、常に信用保証協会・金融機関・債務者の三者が基本となる。すなわち、信用保証協会と債務者との間においては信用保証委託契約が、まだ、信用保証協会と金融機関との間には信用保証契約が、そして金融機関と債務者との間においては当該信用保証契約に基づき、貸付または手形の割引等の与信契約が成立することとなる。それぞれの契約関係をさらに具体的に説明すると、まず、委託関係であるが、民法上、保証は債権者と保証人との間の保証契約により成立し、必ずしも主たる債務者の保証委託の意思の関与を必要としない。他方、信用保証協会の場合は、すべて債務者である中小企業等の委託に基づいて信用保証を行っている。

このような委託は、通常、債務者が保証人へ保証の依頼をし、保証人はこれに対して応諾するという意思の合致により成立するが、信用保証協会の場合はこれを信用保証委託契約書により行っている。また、委託契約の性格は委任に相当するが(民法643条)、この委託契約は無償契約を原則としているのに対して(民法648条)、信用保証協会の委任関係は、委託の報酬として債務者より信用保証料を徴求しているので、有償契約としての委任契約であるといえる。次に、金融機関との信用保証契約は、保証取引に関する基本契約たる約定書の締結を前提に、個々の保証取引のつど金融機関に対して信用保証書を交付することによって成立させている。

信用保証協会の個々の保証契約は、このようにすべて信用保証書の交付という要式行為により行われており、しかも信用保証書には保証債務の内容が特定化されるよう、保証金額・保証期間・弁済方法等の保証条件が明示されている。信用保証契約は、金融機関が信用保証書を受けとったときに成立するが、その効力は金融機関が信用保証書を受けとったときから一定期間内(約定書例2条では原則として30日、特別の場合は信用保証協会の承諾により60日)に貸付等を実行した場合に生じることとなっている(約定書例1条・ 2条)。なお、金融機関と債務者との与信取引のなかで、現在、信用保証協会が信用保証の対象としているものは、証貸、手貸、当貸、手形の割引、社債の引受けにかかる信用保証である(信用保証協会法20条1項)。

責任共有制度とはどのようなものか

責任共有制度とはどのようなものか。
平成17年6月の中小企業政策審議会基本政策部会「信用補完制度のあり方に関するとりまとめ」において、信用保証協会と金融機関との適切な責任共有の必要性が指摘され、平成19年10月以降、それまで原則として全部保証で取扱っていたものを、原則として貸付金額の2割相当額を金融機関が負う形態へと変更した。この形態を「責任共有制度」とよぶ。

原則として貸付金額の2割相当額を金融機関が負担
信用保証協会の行う保証は、一部を除いて原則として100%保証により取扱うてきた。中小企業基本法の規定により設置された、中小企業政策審議会基本政策部会「信用補完制度のあり方に関する検討小委員会」において、信用補完制度の実態と課題について多面的に検討を行い、「信用補完制度のあり方に関するとりまとめ」という形で、平成17年6月に報告がなされた。その中の重点項目として、「信用保証協会と金融機関との責任分担に基づく効果的な中小企業支援体制の確立」について、中小企業庁を中心に金融機関、信用保証協会、中小企業金融公庫(現、日本政策金融公庫)、全国信用保証協会連合会等関係者間で、実現に向けた検討、調整が行われ、平成19年10月から実施されることになったものである。

(1)具体的方式
世界各国での導入例をあげると、部分保証制度(金融機関が行う融資額の一定割合を保証する制度)が適当としながらも、単純な部分保証の拡大は、金融機関も適切な債権管理に係るコストを増大させることなどから、中小企業者、特に零細企業の資金調達に与える影響を考慮し、「部分保証方式」、または金融機関が部分保証方式と同等の責任分担を行う「負担金方式」のいずれかを金融機関が選択することが適当とされた。方式の変更については原則として合併等やむを得ない場合に認められている。

(2)部分保証方式             
個別の融資金額に対して80%の割合を保証協会が保証するものである。読んで字のごとく、1つの債権を保証部分(80%)と非保証部分(20%)の割合により融資を行うもので、保証協会が代位弁済をする前は不可分であるが、保証協会が代位弁済を行うと保証部分について求償権を取得することになる。金融機関は非保証部分について、プロパー債権として管理することとなり、第三者への譲渡等については手続的には信用保証協会の事前承諾が必要となるが、基本的に金融機関の判断で行うことが可能となる。

(3)負担金方式
責任共有制度導入前と同様に、保証協会は融資金額の100%を保証するが、一定期間における当該金融機関の保証利用実績に応じた負担金を金融機関が納付する方式である。具体的には、当該金融機関の保証債務平均残高に過去の代位弁済発生率を乗じることで、当該期に生じる損失を推計し、これに金融機関の負担割合である20%乗じて、当該金融機関の負担すぺき額を算出する方式である。

(4)保証料
負担金方式の場合、表面上100%保証であるが、金融機関が一定の信用リスクを共有することで保証協会が負担する信用リスクは減少することから、その分中小企業者が負担する保証料は100%保証に比べ軽減されている。部分保証についても保証割合に応じて保証料は計算されるため、負担金方式同様、保証料は軽減される。

(5)責任共有制度対象除外制度
円滑な制度導入の観点から、政策色が強く金融機関ではリスクを取ることが困難だと予想される一部保証については、当面の間、一部の保証を責任共有制度の対象から除外している。具体的には以下の保証になる。
①経営安定関連1~6号に係る保証(セーフティネット保証)
②災害関係保証
③創業関連保証および創業等関連保証(再挑戦支援保証を含む)
④特別小口保険に係る保証
⑤事業再生保険に係る保証
⑥小口零細企業保証制度に係る保証
⑦求償権消滅保証
⑧中堅企業特別保証制度に係る保証

制度保証の種類

信用保証協会が取扱う保証制度にはどのようなものがあるのか。
信用保証協会が取扱う保証制度については、①中小企業信用保険の特例措置等に基づき、政策目的により制定された特別保証、②全国信用保証協会連合会が中心となって制度とした全国統一制度、③各地方自治体が行政施策として行っている制度融資、④信用保証協会独自の保証制度に分けられる。

用途や目的に応じた利用
経常的な事業資金については、特別な制度や信用保険の特例を利用しなくとも、1企業につき、無担保保証8,000万円、普通保証2億円の合計2億8,000万円の保証枠があるため、通常の事業資金であれば十分余裕があると思われる。したがって、各地方自治体の制度融資を中心に、ニーズにあった保証制度を選ぶことが先決だと思われる。各地方自治体によっては、金利や信用保証料の補助がある等、中小企業者にとって有利な制度もあるので、よく確認する必要がある。これ以外に、特殊な資金ニーズがある場合は、国の施策として次に例示するような特殊な保証制度も設けられているので、内容を確認されたい。

【中小企業信用保険の特例措置等に係る主な保証制度】
・中堅企業(破綻金融機関等関連)特別保証制度
・景気対応緊急保証制度(平成23年3月31日終了)
・特定社債保証制度   
・流動資産担保融資保証制度
・事業再生保証制度
・特定信用状関連保証制度
・一括支払契約保証制度

【信用保険の特例措置には該当しないが国が要綱を定めた主な保証制度】
・借換保証制度   
・小口零細企業保証制度
・予約保証制度
・条件変更対応保証制度

【全国信用保証協会連合会が中心となり全国統一化した保証制度】
・当座貸越(貸付専用型)根保証制度
・事業者カードローン当座貸越根保証制度
・長期経営資金保証制度

信用保証協会と信用補完制度

信用保証協会とはどのような組織なのか。
信用保証協会の業務は、自らの力で事業展開を図ろうとする中小企業者が必要とする事業資金の調達に関し、信用保証協会が保証人と、なることで、中小企業者の信用力を補完し、金融の円滑化に資すること、を目的としており、信用保証協会法(昭和28.8.10法律196号)を根拠法としている。

国と地域の中小企業施策の担い手

(1)信用保証協会とは
信用保証協会の歴史は、昭和12年9月の東京信用保証協会の開業から始まり、昭和47年5月の沖縄本土復帰に伴い、現在と同じ52(各都道府県と川崎、横浜、名古屋、岐阜、大阪の5市)の体制となった。国の中小企業対策である景気対応緊急保証制度(平成23年3月31日終了)のように全国統一保証制度の取扱いと、地方公共団体ごとに異なる制度融資を取り扱うなど、全国52の信用保証協会は、国と地域の中小企業施策の両面を担っている。信用保証協会の利用に関しては、中小企業者が金融機関を経由して保証付融資を申込む金融機関経由が一般的な申込形態となっている。

申込を受けた信用保証協会は、申込内容を調査・審査して金融機関に対し保証承諾(信用保証書の交付)し、金融機関から中小企業者に対し貸付が行われる。この際、中小企業者は信用保証協会に所定の信用保証料を支払うこととなる。信用保証協会では中小企業者へ信用保証付貸付がなされると、その危険性の有無や高低にかかわらず原則として、日本政策金融公庫の信用保険にかける仕組みとなっており、信用保証協会は同公庫に対し、一定率の信用保険料を支払うことになる。

(2)信用補完制度
金融機関が行う保証付貸付について、借入人からの返済が滞った場合には、信用保証協会は金融機関に対して残債務を支払う(代位弁済)。代位弁済により求償権を取得した信用保証協会は、借人人の状況を把握しながら返済交渉(回収)を行う。代位弁済になると日本政策金融公庫から一定割合の保険金が信用保証協会へ支払われ、信用保証協会は保険金受領後、求償権回収に努め、回収金を保険金受領割合で按分し日本政策金融公庫へ回収納付することになる。このように、信用保証協会が行う信用保証業務と、これを再保険する中小企業信用保険業務を統括した概念を「信用補完制度」という。信用保証と信用保険が相互補完的に機能することにより信用保証協会は成り立っている。

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